NPO法人フェアプラス 事務局長Blog

第34回ツキイチカフェ「物づくり:言葉を超えて繋がる」

520日開催の第34回ツキイチカフェは、井澤葉子さん(ジュエリー・アーチスト)をゲストに迎えて、「物づくり:言葉を超えて繋がる」をテーマに開催しました。

 

パッケージデザインの仕事をしていた井澤さんは、外から日本を見つめなおしてみたいと思い、1998年に英国の芸術カレッジに留学されました。大学での彫金との出会いからジュエリー・アーチストを志すようになりましたが、ヨーロッパのジュエリーの世界は金属を使ったがっちりしたものが多く、そのことに違和感を抱いて、異素材、柔らかい素材、透過性のあるものを使った作品に取り組んでいらしたそうです。

英国の大学院で課題として出された琥珀の原石はグロテスクに感じられたが、ストッキングで包みこんだ時、ミステリアスなものに変わるという経験をされました。

これらの経験を通じ、ご自分がヨーロッパのアーティストと違った美意識を持っていることに気づき、そのルーツは日本で育まれた『曖昧さ』にあると考えたそうです。(ヨーロッパでは「曖昧さ」は、否定的に捉えられることが多い。)

これが現在の作品作りに通じていると、井澤さんは話されました。


IMG_4395

2013年に帰国された井澤さんは、フェア・プラスとの出会いを通じて、自分が培ってきたことが他で生かせる喜びを知りました。

障がい者作業所の西陣工房では、西陣織や組紐の高い技術を生かした製品作りを行っていましたが、バッグ、ストラップなどの商品は障がい者製品を販売するルートが主な販売先でした。
井澤さんは商品開発に取り組むにあたり、障がい者の人たちが作る商品は手作りのため価格が高くなってしまうことから、最初から価格帯を意識して商品開発に取り組み、また既存の製品との競合を避けることを意識して「糸のじゅえりぃ」(形状記憶ワイアーを中に入れた京組み紐のブレスレット)など特徴のある商品を開発しました。


IMG_4394

アバカ・プロジェクトについても、井澤さんは日本で評価されるアバカ・マクラメ編みの商品の開発に取り組みました。商品作りを一緒に取り組むフィリピン・マリナオ村では、以前より繊細なアバカの繊維を使ったサンダル等の商品が作られていました。

また、アバカ商品を編む伝統的なマラメ編み技法の技術レベルは非常に高く、それを生かした日本向け商品の開発を行ったそうです。この取り組みの、現在の最高傑作は、着物の一加と共同開発しましたアバカ製名古屋帯です。


IMG_4393

これまでの経験を通じて井澤さんが語られたことは、「言葉は誤解を生む、もの自体には訴える力があり、人と人が繋がっていく」ということが作品作りに込められた想いでした。

 

参加者との意見交換でも、ヨーロッパでは目立つものに注目するが、日本はめだたないものに価値を見出している、指輪がない歴史文化を持つのは日本ぐらい、文化のちがうところに身を置くことにより自分を再発見できることがあるなど、日本の文化についてまで話が及んでいました。


IMG_4402

以上

Comment

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
プロフィール

minorukasai51

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ
NPO法人フェアプラス 事務局長Blog