現地活動レポート
地球環境基金の助成を受けて、フェア・プラスが企画している一連の講習会では、フィリピン国内だけでなく、海外からも講師を招聘しています。2017年7月8日および10日に開催された第2回の講習会では、持続可能なコーヒー生産についての知識普及を目的として、京都でフェアトレードショップを経営するシサム工房さんから2名の講師をお招きし、日本国内でのフェアトレード実践例を紹介していただきました。本講習会では、持続可能なコーヒー生産のうち、マーケティング側の視点を学び、フェアトレードの基本的な枠組みを理解することを目指します。
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図1.サグパット農業団での講習会の様子。手前の男性が「シサム工房」代表取締役の水野泰平さん、その後ろが管理部門統括の村上雅敏さんです。
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第1回目の講習会を欠席した参加者に配慮し、まずはフェアトレードの基本コンセプトについて説明を行い、持続的なコーヒー生産を実現するための様々な制度についても言及しました(詳しくは第2回を参照)。特に強調されたのは、フェアトレード市場で買い手が取引するのは生産者「個人」ではなく生産者が所属する「組織」となるため、メンバーが協力して生産活動に従事し、生産量を拡大することが欠かせないということでした。
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図2.ダユコン農業組織の代表ジェロさんとシサム工房の水野さん。シサム工房が製作したポスターを手に記念撮影。
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コーヒーの生産量が拡大すれば、農家さんが得られる利益も増大します。しかし、フェアトレードの目的は農家さんの生計向上だけではありません。第2回のNEWSでも紹介した「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」という制度をご存知でしょうか?これは、輸入組織(買い手)により品物の代金とは別に支払われる奨励金のことで、生産品目の重量に応じて価格が設定されています(アラビカコーヒー:1ポンド(454g)あたり20セント)。この奨励金は、組織の共用資金として、その使途は民主的に決定されます。教育、ヘルスケアなどに使用される他、生産効率を高めるための設備投資や勉強会の費用などにも充てられています。
このように、フェアトレードの枠組みの中では、生産者の皆さんの生活を豊かにする仕組みがたくさんあります。フェア・プラスでは、各生産者団体の組織力を強化して、生産性を高め、社会的、経済的、環境的に持続可能なコーヒー生産を目指します。
さて、講習会後半には、フェアトレードに関するクイズ大会も開催されました。シサム工房オリジナル「キャンディー・レイ」の獲得を目指し、参加者の気合も十分!大変な盛り上がりとなりました。また、7月8日から4泊5日の日程で、日本からフェア・プラスのスタッフが事業視察に訪れ、ダユコン農業組織での講習会に参加しました。
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図3.キャンディー・レイを獲得!いずれの生産者団体においても、大いに盛り上がったクイズ大会でした。
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図4.サグパット農業団体での講習会には、フェアトレード・フィリピンからマーケティング担当のサンディさん(右から3番目の男性)とリリカさん(手前の女性)が駆けつけてくれました。右から2番目の女性が、当事業で日本側とフィリピン側の調整をしている現地スタッフの本間緑です(このブログを書いています!)。
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リンク
[地球環境基金]https://www.erca.go.jp/jfge/
[シサム工房] http://www.sisam.jp
[コーディリエラ・グリーン・ネットワーク]https://cordigreen.jimdo.com
[フェアトレード・ラベル・ジャパン]http://www.fairtrade-jp.org/about_us/
[国際フェアトレード(英語)]https://www.fairtrade.net