現地活動レポート
2017年4月に開始した当事業では、具体的な3つの成果(第1回参照)を実現するため、1年間で「持続可能なコーヒー生産についての知識普及」、「生産者組織強化とフェアトレード認証取得支援」、「環境保全に配慮したコーヒー栽培法の知識普及と技術指導」をテーマにした9回の講習会を実施することになっています。第2回フェアトレード・コーヒーNEWSでは、4月に実施されたセミナーについてレポートします。
記念すべき第1回目のセミナーでは、フェアトレード認証団体のアジア太平洋州を管轄する「Network
of Asia and Pacific Producers(NAPP)」からナターシャ・エリカ・シアロンさんを招いて、フェアトレードの基本コンセプトと世界での取り組みについてお話しいただきました。
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図1.左の女性がシアロンさん。国際フェアトレードのアジア太平洋州を管轄するNetwork of
Asia and Pacific Producers(NAPP)を一人で切り盛りしています。この日は、サグパット農業団体の皆さんへフェアトレードのコンセプトを説明してくれました。
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私たちが支援している2つの生産者組織は、将来的にフェアトレード認証を取得することを目標のひとつとしていますが、この認証取得のためには、国際フェアトレードが策定した「社会」「経済」「環境」の3つの基準を満たす必要があります。いわゆるフェアトレード基準(Fairtrade
Standard)と呼ばれるものですが、児童労働の禁止、農薬の使用法、農作物の管理方法などについて細かな基準が設けられています。認証取得を目指す農家さんにとっては、とても重要なトピックのため、みなさん真剣に耳を傾けていました。
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図2.一番左の男性がサグパット農業団体の代表アーノルドさん。写真中央の男性が当事業での一連のセミナーをコーディネートしている現地スタッフのジュニファーさん。第1回のセミナー開始に先立ち、事業目的や年間計画について説明しています。
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一方、フェアトレードの枠組みの中では、「フェアトレード最低価格」や「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」など生産者に有利な基準も設けられています。「フェアトレード最低価格」は、生産コストをまかない、かつ経済的・社会的・環境的に持続可能な生産と生活を支える大切な仕組みで、買い手が不当に低い価格で取引することのないよう国際フェアトレードが製品ごとに定めた最低取引価格のことを言います。一方、「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」は、輸入組織(買い手)により品物の代金とは別に支払われる奨励金のことで、その使途は生産者組織によって決定されます。例えば、品質向上のためのトレーニング、コミュニティのインフラ整備、学校の整備、などに使われています。非常にユニークな仕組みのため、農家さんも興味津々です。最低価格はどのようにして決めるのか?プレミアムの額は?使途はどうやって決めるのか?など、たくさんの質問が寄せられました。
最後に、シアロンさんから生産者組織に対して、聞き取り調査が行われ、第1回のセミナーは終了しました。なお、5月23日および26日には、フェア・プラス現地スタッフによるフォローアップセミナーを実施し、フェアトレードに関する追加質問への回答や疑問点の解消に取り組みました。
リンク
[地球環境基金]https://www.erca.go.jp/jfge/
[コーディリエラ・グリーン・ネットワーク]https://cordigreen.jimdo.com
[フェアトレード・ラベル・ジャパン]http://www.fairtrade-jp.org/about_us/
[国際フェアトレード(英語)]https://www.fairtrade.net