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第21回ツキイチカフェ「災害時の広域避難を考える~東日本大震災避難者支援の現場から~」

34日開催の第21回ツキイチカフェは大塚 茜さん(NPO法人なごみ理事長)をゲストに迎え、「災害時の広域避難を考える~東日本大震災避難者支援の現場から~」をテーマに開催しました。

 

高齢者への配食サービスを行うNPO法人ハイビスカスで活動していた大塚さんは、保育士の資格を持っていたこともあり、震災の翌年石巻市で認可外保育施設を立ち上げ、子供たちの支援に取り組みました。

一方、福島から京都へ避難されてきているお母さんたちに息抜きできる場所をと考え、京都市内に復興サロン和を立ち上げ、親子で気兼ねなく過ごせる場所を提供しました。さらに、避難が長期化する中で、就労の場として「キッチンnagomi」を設立し、避難してきたお母さんに働く場を提供し、避難してきた人たちのニーズに答える形で活動は継続してきています。

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京都に避難してきている人の70%が原発事故からの避難者。国の避難者に対する支援(災害救助法)の期限は原則2年となっています。これは自然災害による避難者への応急措置という位置づけで、その後は自力で住宅を見つけるのが原則というもの。この法律は自然災害か人災かの議論が分かれる原発事故の避難者にも適用されており、2年で福島へ戻ることなど容易にできず、その後は1年ごとの応急措置として延長されてきています。

このことが大きな問題を生み出し、避難者の人たちは将来の暮らしについて長期的な展望が持てず、生活設計が立てられないという困難な状況に置かれてしまっています。また避難が長期化してくると、避難元(福島)の情報にふれることができず情報の格差が生じる、避難先(京都など)で基盤ができ、コミュニティもできる、自分は将来どうしたらよいのか分からない、自分の人生を自分で決められないという状態に陥ってきているそうです。

さらに、避難指定地域からの避難者と自主避難者との間で、自主避難してきた人たちと福島に残った人たちの間で、また福島県と他の県からの避難者との間で分断が生じてしまうという複雑な問題も起きているそうです。そのため現在、NPO法人なごみは、避難者の人たちが分断を乗り越えるためのワークショップも開催されているそうです。

「そもそも自分の存在意義ってなんだろう?ふるさとにも帰れず、かといってここにいるのも『許可』がいる。自分はここに存在していいのだろうか?」という、避難してこられた方たちの、存在意義そのものが揺らぎ続けるという根本の問題となっていると、大塚さんは語られました。


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いろいろな悩みを持った避難者の人たちが大塚さんに相談に訪れますが、深刻な悩みが多く、またその悩みは避難したことが原因なのか、原発事故がなくてもその問題はあったのではと思うこともあるそうです。しかし大塚さんは、それは自分の価値観でその人の話を聞いているからそう感じてしまうことに気づき、現在は「その人に意識を向けて」話を聞き、その人自身で考えてもらえるようにする、どんな人でも支援したらよいと考えるようになったそうです。これこそが避難者に寄り添うということなのかもしれません。

避難先によって対応の違いがありますかとの参加者の質問に大塚さんは、京都は対応をよくしてくれています。避難者が提供住宅から退去しなければならない時、負担が急激に大きくならないよう、1年間は半額を行政が補助しています。福島から最初の避難者のバスが京都に到着した時に、知事自らが出迎えてくれたことを避難者は今でもとても感謝しているそうです。

最後に大塚さんは、「人の復興とは、揺らいでしまった存在意義を見つめ直し、ひとりひとりが新たに紡ぎ直すこと」だと思うと結ばれました。


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36日の京都新聞に以下の記事がありました。新聞は紙面の関係から国の政策の問題点に焦点があたっていますが、2時間のツキイチカフェを通じて大塚さんからは、福島原発事故から京都に避難してこられている方たちの現在置かれている状況、悩み、苦しみとは、市民としてその人たちに寄り添うということはどういうかなど、貴重なお話をして頂きました。


2017年3月6日 京都新聞 (2)

NPO法人フェア・プラス

河西 実



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