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第57回ツキイチカフェ:パンデミックに立ち向かうフィリピンの山村の人たち

  • 2021年01月20日

1月17日開催のツキイチカフェは、河西 実(フェエ・プラス 事務局長)が「パンデミックに立ち向かうフィリピンの山村の人たち」をテーマにお話させて頂きました。当初は会場とオンラインでの同時開催を予定していましたが、京都で緊急事態宣言が出されたため、残念ながらオンラインのみでの開催となりました。

 

最初に河西から参加者のみなさんに「2020年はどのような年でしたか?」とお聞きしました。みなさんからは、「オンライン授業でほとんど大学へ行くことがなくなってしまった」、「友だちと会えなくなってしまい寂しい」、「仕事が大きく変わってしまった」など、それまでの日常が一変したことが口々に話されました。


①

2020年はフェア・プラスにとっても激変の年だったことを河西からもお話しました。事業型NPOとしてビジネスを生かしてきたフェア・プラスのほとんどの取引先が休業、休館、廃業、閉店などとなり、取引が消滅してしまいました。

さらにフェア・プラスが長年支援活動を行ってきたフィリピン・マリナオ村も荒波にさらされる年となったことをお話しました。


②

マリナオ村では、伝統のアバカ・マクラメ編みを生かした製品を長年生産し暮らしの糧としてきました。近年は、フェア・プラスがデザインした品質の高い着物関連商品(帯、ラッチバッグ、巾着など)を、誇りを持って生産し、村の人たちの暮らしも良くなってきていました。マリナオ村の人たちが作った名古屋帯などの商品は日本の着物愛好家に大変好評で、多くのファッション雑誌でも紹介され、販売を伸ばしてきました。2019年には台中市の博物館からの招待により博物館の特別展「Slow Fashion」に半年間出展し、海外での注目されるようになっていました。


③

しかし、2019年末超大型台風ウルスラが村を直撃し、九割の家屋が大きな損傷を受け、これまで植林を行ってきたアバカの木々も多くがなぎ倒され、甚大な被害を受けました。

フェア・プラスはすぐに義援金を募り、マリナオ村の人たちへの緊急食糧支援、家屋の修復材の提供などに取り組みました。

ところが、村の復旧がまだ道半ばの20203月に、フィリピンでも新型コロナウイルス感染拡大により、政府は全土でロックダウン(都市封鎖、外出禁止令)を実施し、村の人たちは町へ買い出しにいくことも、畑へ働きにいくこともできなくなり、困窮した生活に再び追い込まれてしまいました。

フェア・プラスも日本国内の取引がほとんど消滅するという厳しい状況に立たされていましたが、マリナオ村の人たちへの支援のため、再び義援金を募り、食糧支援に取り組んでいきました。


④


また、フィリピン政府方針により、マリナオ村の小学校も10月よりオンラインのみでの授業での再開となりました。オンライン環境が整備されてなく、タブレット等の機器を持っていない家庭も多い子どもたちのため、先生たちは授業で教える内容をプリントして各家庭に配って回っています。フェア・プラスでは、先生たちを少しでも応援するため、文具の寄付も行ってきました。

 

さらに、「アバカ・マクラメ編み」の火を絶やさないため、少人数によるマクラメ編みトレーニングを再開し、アバカの植林も台風で荒れた土地を整備し徐々に再開してきています。

例年フィリピンで最も賑やかとなるクリスマスシーズンを迎えましたが、昨年は一切のイベントの開催が禁止されました。フェア・プラスは各家庭でささやかなお祝いの食事を取って頂きたいと思い、鶏肉を提供致しました。村の人たちは、クリスマスの日に教会のミサで、2021年が穏やかで平和な暮らしになるよう祈りを捧げています。


⑤

厳しい状況に置かれても、明るく前を向いて生きていこうとするマリナオ村の人たちに、フェア・プラスは共感し、励まされてきたように思います。

これからも、マリナオ村の人たちと協力して厳しい時代を乗り切っていきたいと、河西からお話して終わりました。

 

その後の意見交換で参加者の方たちからも、「現地の方々の前向きな姿勢が励みになりました」、「私たちも前向きに明るく生きなければと思いました」、「アバカの製品がもっと多くの人に手に取ってもらえるようになるといいなと思いました」、「コロナ禍における外国の状況についても学ぶことができました」など、共感の声を頂きました。


⑥

以上


  • Posted by minorukasai51
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