NPO法人フェアプラス 事務局長Blog

9月20日オンライン開催第55回ツキイチカフェ:緊急事態、そのとき議会/議員は何ができるか?~イチ自治体議員の悩み~

  • 2020年09月25日

920日開催ツキイチカフェは、小林 美智子さん(大阪府茨木市 市議会議員)をゲストにお迎えして、「緊急事態、そのとき議会/議員は何ができるか?~イチ自治体議員の悩み~」をテーマに、初めてオンラインで開催しました。

初めてのオンラインでの開催ということもあって、ツキイチカフェのゲストと参加者のみなさんがPC上で対面。みなさんのご協力により無事運営することができました。


1-IMG_1373


小林さんから最初に茨木市とはどんな市なのか、茨木市議会とは、小林さんがなぜ議員に立候補したのかについてお話頂きました。

茨木市は南北に長い市でJRと阪急が走る中心部だけでなく、北部には緑豊かで棚田が美しい土地が広がっています。この10年間にサッポロビール、東芝、フジテックなどの大企業が撤退したそうです。(サッポロビールの工場跡地には立命館大学が開学しました。)

茨木市議会の定員は28名で女性議員が8名、党派別でも無所属議員が8名いるとのこと。茨木市議会にはこども連れでも傍聴しやすいよう、ベビーベッドを置いた傍聴室があるそうです。

 

2-茨木市議会


小林さんは、学生時代に将来のことをあまり考えず、公務員になるのも嫌で、メーカーに就職しました。当時会社には「ことぶき退社」という言葉があり、結婚が理由の場合は、退職金が割り増しされ、結婚退職が推奨される風潮があったそうです。

小林さんは結婚を機に、茨木市へ引っ越して生活を始めました。当時育児休業法が制定され、妊娠出産しても継続して働き続けられる制度はできましたが、小林さんが妊娠した時、会社内で育休を取得している人はおらず、環境もまだ整っていない状況でした。やむなく退職し、出産、子育てを始めたそうです。

なじみが薄い茨木には友だちもいず、子育てで悩んでも相談する人がいない、楽しいはずの子育てが苦しいことになってしまいました。小林さんは、お子さんが二歳半になった時、保育園に預け働くことにしたそうです。

保育所では、いろいろな問題を保護者会で話し合って解決していきました。保護者会の会長を決めることになった時、たまたまじゃんけんに負けて会長になったそうです。

これが、小林さんが議員になる道を歩み始めた始まりでした。


3-IMG_1380

茨木市の公立の保育園では、各保育園の保護者会が連絡を取り合うため、保護者会連絡会を設置していました。たまたま、小林さんは一保育園の保護者会会長から、連絡会の会長になることに決まったそうでした。

市の担当課長へ連絡会会長の新任の挨拶に伺ったとき、行政からは「今日は何のクレームに来たのですか?」と苦情団体のような扱いを受けました。では議会に話してみようと思っても議会の窓口がわからない、知人に紹介して頂いた議員に会うためアポを申し込むと、共産党系団体とみなされ門前払いを受ける状態でした。

また、当時の市民運動にも違和感を感じました。「ポストの数ほど保育所を」と運動されてきた世代の保護者OBから「100%の成果を得るためには130%を要求をぶつけて勝ち取っていかなければならいない」と言われることもあり、小林さん世代の「話し合いで解決していきたい」と考える人たちとは相いれないものがありました。

 

友人から矛盾を解決するには議員になる方法もあると言われて、選挙の4か月前に決断して立候補し、幸運にも当選しました。

 

第55回ゲスト写真

市議会で決めることは、生活に密接に関連した施策が多くあります。小林さんが挙げられた例として、親子で遊べる(屋内)広場が現在中学校区に1か所しかありませんが、各小学校区に1つの設置に向けて、広場の拡大を進めています。

茨木市の中学校給食はお弁当を注文する選択制ですが、高槻市は全員給食となっています。茨木市では、現在給食センターの建設を進めています。

このように自治体によって施策に違いがあるとのことでした。

小林さんの取り組んだ例として、保育要件の改善があります。昨年10月から国が始めた保育・幼児教育の無償化によって、就労を理由に幼稚園の預かり保育を利用する場合は、無償化の対象になりますが、その際には「保育要件を満たしていること」が条件になります。茨木市では1日4時間×週4日以上、月64時間以上働いている人が対象となります。
しかし、日単位、週単位の条件があるので、たとえば、1日6時間×週3日という働き方をしている人は、月64時間以上働いていても無償化の対象になりません。そのような現状を市民から聴き、小林さんは日単位、週単位の条件をなくすことを議会で提案し、その結果、1か月64時間以上働いていれば、無償化の対象になるよう改定されました。

こども医療費の条件も自治体によって異なりますが、本来は国で統一すべきだと、小林さんは考えています。


20186月大阪北部地震が起きた時、茨木市は多くの家屋が大きな被害を受け、ガスも1週間途絶える状態が続きました。災害対策基本法で、市、市長は何をしなればならないか定められています。ところが、議会、議員は何をすべきかは定められていません。

地震が起きた直後、一人一人の議員が行政に問い合わせたり、対応を要求したら行政を混乱させてしまうということで、茨木市議会では連絡窓口を一元化することにしました。


4-大阪北部地震

そのような中、小林さんは何をすべきかと悩み考えたそうです。そして、ご自分が地域自主防災会の副会長をされていることもあり、地元の避難所の支援活動に入られたそうです。

災害直後、避難所に情報が入ってこなかったため、議会事務局から全議員にメール配信された災害対策本部からの情報を、防災会や避難者の人たちに提供しました。

避難所運営の中では、地域住民と行政との軋轢も生じました。

例えば、50人ほどいる避難者に毛布を配ろうと思っても、災害対策本部からなかなか毛布がやってこない。地域自主防災会の人たちは、地元小学校にある防災倉庫に毛布が備蓄されているのを知っているから「すぐにでも持ってこい!!」と避難所に詰めている職員に迫りますが、職員は「災害対策本部からの指示がないと動けない。」と返答し、険悪な状況になりました。小林さんは、「防災倉庫には、この地区だけでなく市全体の避難所分の備品があって、それをどう振り分けるかを災害対策本部が決めて、備品運搬班の人たちが持ってくるという流れになっているから、もう少し待ってほしい」と事情を説明し調整役に入ったりもしました。

地域住民と市職員が合同で避難所運営をするためには、情報共有が必要だと感じ、地震後3日目から、毎朝10時に自主防災会のメンバーと市の職員が合同で会議をする体制を作りました。また、避難者、自主防災会メンバー、市職員が、避難所で一緒に食事をして、いろいろなことを話し合う場を作り、徐々にコミュニケーションが取れるようになったそうです。防災訓練のときに避難者のプライバシーを配慮するなどの知識も得ていたこともあり、パーティションを立ててみたものの、下に隙間があり、寝ると見えてしまうという問題が1週間後に分かって、仕切りを段ボールに代えるという経験もされました。地域の人たちが避難所に相談や情報を得にきたりしたため、避難所の玄関に掲示板を作り、市ホームページから最新情報を印刷して掲示するなど、予想していなかったことが次々に起きるたび対応していったそうです。

小林さんは、これらの経験から、紙の上でいくら計画を立てていても問題は解決せず、現場で適切な対応が求められること、現場での調整役として議員の仕事が果たせたのかなと後に思われたそうです。議員は、「二元代表制の一翼としての自負を持ち、責任を果たす」ことが重要と考えたそうです。

今後、議会と行政が検討を進める必要があることとして、地域防災計画の具体性、要配慮者への対応、行政と自主防災組織や住民との連携施策、ネット環境だけに頼らない情報発信など、大阪北部地震の経験を踏まえ、小林さんは挙げておられました。

 

5-IMG_1377

大阪北部地震のあと、災害時には「茨木市議会災害対策会議」を設置することを決め、今年の4月にコロナ対策として設置されましたが、機能しているとはいえない状況だそうです。

茨木市では、コロナ対応の予算もできるかぎり議会で審議して決定するため、「コロナ関連予算」と「コロナ関連ではない予算」に分け、「コロナ関連予算」を議会初日に審議、議決しているそうです。

茨木市は、国からの地方創生臨時交付金20億円のうち16億円をすでに使い、財政調整基金(市の貯金)77億円のうち20億円を使っています。また、来年度以降財政的に厳しくなることも予想されます。

各自治体では、住民への独自支援策を行っていますが、「あそこの市がやったからうちの市も」という発想でやっていっては、財政が底をついてしまいます。住民のために茨木市は何をすべきかを考えて対応することが重要だと小林さんは話されました。

 

最後に小林さんから参加者の人たちへ、コロナ禍への対応にこれからどんなことが必要となると思いますかと質問され、話を終えられました。

参加者からは、家で介護をしている人がコロナに感染したらだれが親の介護をするのか不安、大学生はオンライン授業ばかりで人と人とのつながりが途切れてしまって孤独になっている、お金だけでない何かが作れないか、議会を通年で開けないかなど、いろいろな発言がありました。

終了後のアンケートでも、小林さんのような議員がもっと増えてくれたら、社会がよくなると思いますとの意見もありました。きっと、参加者されたみなさんが同じことを感じられたことと思います。


6-IMG_1383

以上


  • Posted by minorukasai51
  • Comment(2)
  • 22:39 | Edit
プロフィール

minorukasai51

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ
NPO法人フェアプラス 事務局長Blog