2月8日開催ツキイチカフェは、正木 智砂さん(sobanomiつながりカフェ)をゲストにお迎えして、「人生の働き方改革 自分仕事をはじめたわけ」をテーマに開催しました。
正木さんは、夫と猫の三人暮らし、共感カウンセラー、無農薬栽培をしていますとの自己紹介から話を始められました。
正木さんのカフェがある五条エリアでは町家がホテルに次々に代わってしまっている。日常の暮らしで立ち寄れる場所を作りたいとの思いで、カフェを運営しているそうです。
地域はゲストハウスが多いため外国人のお客さん、ビジネスマン、OL、学生、フリーランスも来る、ゼロ歳児から91歳まで多様なお客さんが来てくれる。障害者施設のリクレーションでも、地域の地蔵盆でも使ってもらっている。
そして、カフェで初めて知り合った人同士が繋がっていっている。それが、正木さんが運営する「ごろ寝スペース」のある「共感カフェ」とのことでした。
名前にある「sobanomi」の由来は、そばの粉を使った美味しい食べ物を通じて、綺麗な蕎麦の花が咲く里山の景色を思いめぐらし、里山を見直してもらえたらとの前オーナーの想いを引き継ぎました。そば粉のホットケーキなど提供しているそうです。
正木さんがなぜこのようなカフェを運営されようとしたのか。
大学を出て精神障害の人の就労支援の仕事につきました。当時精神障害者は障害者雇用率の計算対象にもされておらず、精神障害者の就労の難しさを知りました。
正木さんは、その後当時不登校が社会問題となっている青少年育成の仕事につき、バックヤードの業務を担当しました。社会保険労務士の資格試験に合格し、その仕事にも取り組みました。
障害者年金は申請しないと受給できず、申請しようとしても行政でたらいまわしにされることが多く、年休を受給できないという深刻な問題が発生していました。障害者年金の無支給の一人暮らしの精神障害者の人が貧困のどん底の暮らしを送るという社会の深刻な問題とも直面しました。
そんな時に東日本震災、原発事故が起きたことから、大量消費社会のあり方には問題があり、社会は循環型経済であるべきと考え、そのような経済を作る仕事をしたいと転職したそうです。
会社では、組織運営にかかわる仕事をしました。
様々な取り組みをする中で、人と人との関係の質をより良くすることが、いきいきと働く職場へ近づくと考えるようになりました。そのあり方を目指し必死で取り組みました。
また、会社に勤めながら、組織の外でも、生き生きと自分らしく暮らす人が増えて欲しいとワークショップを主催するようになりました。そこにはたくさんの人が、同じようなあり方を求めて、参加してくれるようになりました。
そんな経験をする中で、これまで社会課題を解決する仕事に就いて来たものの、自分が求めることが何か他にあるのかもと感じた正木さんは有給休暇を取って石垣島へ旅に出たそうです。自然の中で過ごすうちに、自分で仕事を創りたいと思うようになり退職することに決めました。
そんな時、カフェの話と出合い、「心と体が温まる場所を作りたい」と考え、内装も手作りで改装し、カフェをオープンしました。
正木さんは、ご自分では社会課題を解決しないが、ほっとする場所があることで、自分らしく生きる人が増えて欲しいと運営してきているそうです。
心と体が温まる場所があることで、人は自分らしく創造的になっていく、その延長線上に、社会課題を解決する人を生み出すことがあるかもしれない。人がほっとして安心できる場所を作りたいと思い、カフェには「ごろ寝スペース」を設け、また、そのスペースを使ってNVCのワークショップの一つ「共感カフェ」を運営してきているそうです。
正木さんのお話をお聞きして、参加者のみなさんも、心身ともに癒される温かいカフェを目に浮かべ、自分でも正木さんのカフェに足を運びたいと感じていました。
正木さんにとってカフェを運営する魅力とはとの質問に、思ってもいない人たちがカフェに来てくれて楽しい出会いがあること。課題は、大勢の人に来てもらわないとカフェの経営が厳しいが、いっぱいの人だと来て下さった人にゆっくりと過ごしてもらえないという悩みですと話され、ツキイチカフェを終わりました。
以上